2012年05月02日

中京郵便局

二日はさみましたが、京都文化博物館の続きとして中京郵便局を。
三条通と東洞院通の交差点の北東角にあります。

中京郵便局
中京郵便局
中京郵便局

この建物、実は1978年に外壁保存という形で再生された建物です。
ファサードを形成するレンガ壁を裏側から補強して残し、その他のほとんどの部分は解体して鉄筋コンクリート3階建ての建物に生まれ変わっています。幸い三条通も東洞院通も道幅が広くなく、建て直した部分はほとんど道路から見えないため、再生された建物であることには気付き難いです。
この再生された建物は昭和53年に日本建築学会賞を受賞しています。

この建物の再生のことを知ったのは、↓ の本。
多分、20年近く前に読んだ本です。
前述の話もこの本を参照しています。

中京郵便局
美しくなれる建築なれない建築―慣習の美学

興味のある方は読んでもらうのが一番なんですが、


想像してみてください。
1902年(明治35年)に竣工した中京郵便局と4年後の1906年(明治39年)に竣工した日本銀行京都支店。そして、この二つの大きな赤レンガの建物が建つ1910年ごろ(明治40年代)の三条通の景色。
1910年ごろの三条通の風景なんて想像できないかもしれませんが、たぶん、廻りは木造2階建もしくは厨子2階建の町家が並んだ街並みで、この二つの建物がドカンと建っていたんだと思います。そう考えると、必ずしも当時の街並みに合った建物ではなかった事は容易に想像できると思います。
でも、長い年月が経って、いざ解体となると反対運動が起こり、外壁保存という形で再生することになる。
この建物に限らず、ある物を長期間見続けるような場合、最初は奇異に見えていたものも、次第に違和感がなくなるばかりでなく、かえって好感さえもって、ついにはこれが美しく見えてくるような、そんな不思議な性質をもっている。そんなことについてが書かれた本です。

私は、建物にはその建物と関わりを持ってきたすべての人々のいろんな思いが、その時間に応じた量だけ篭っている。だからこそ解体するとなると反対運動も起こるし、実際に解体する場合には慎重にならないといけない。そう考えています。
有名になった「ビフォーアフター」を見ていて、どんなに住み難い家でもいざ解体しているのを見ると涙が出てしまう。そんな気持ちです。
単なるノスタルジーかもしれません。でも、そんなノスタルジーも人間には必要なときがあるんじゃないでしょうか。


中京郵便局
住所:京都市中京区三条通東洞院東入菱屋町30





大阪・吹田・千里ニュータウン/アーキスタジオ 哲 一級建築士事務所
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中京郵便局




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Posted by アーキスタジオ 哲 at 06:20│Comments(0)京都の建築と雑記帳
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