2012年07月04日

生駒ビルヂング(生駒時計店)

堺筋と平野町通りの交差点(平野町1丁目)の南西角に建つ有名な生駒ビルヂング(生駒時計店)。

生駒ビルヂング(生駒時計店)
生駒ビルヂング(生駒時計店)

角地に建つ時計店のビルなので、コーナーに時計塔などを配置して時計を象徴的に扱って…と考えてしまうが我々凡人の考え。でも、この建物は敢えて時計塔を端っこに追いやって、コーナーはコーナーで、きっちりと別のデザインで仕上げています。

生駒ビルヂング(生駒時計店)

しかも、半端なく細かい細工を施して。

端っこに追いやられた時計塔は、そこでひっそりと時計としての機能だけを主張して生きて行くのかな?と思ったら、

生駒ビルヂング(生駒時計店)

交差点方向ではなく、堺筋の対岸から見たその姿は、下に振り子を連想させるような窓を携えて、しっかりと正面を気取っています。
水平を強調している細かい水平線をここだけ切り取って、微妙な加減で垂直方向(振り子)を強調してはいますが、この時計塔が他のデザインの邪魔をしていることはありません。だから、交差点方向から見ると時計塔に気がつかなかったりします。
そう思って交差点方向に戻って見直してみると、コーナーを軸にほぼシンメトリーになっている。どうやら、全体のミソはこの方向からのシンメトリーにあるように思います。
シンメトリーで一応完結されたデザインの外側にうまく時計塔を配置して、両方がうまく生かされているようです。
絶妙です。

全体もすごいけど、この建物はなんといっても細部もすごい。

生駒ビルヂング(生駒時計店)

テラコッタの半端ない装飾があったり、

生駒ビルヂング(生駒時計店)

振り子の先端の丸窓の違和感を和らげるようなアーチがあったり、

生駒ビルヂング(生駒時計店)

なぜか目をひきつけられる鳥のような像があったり、

生駒ビルヂング(生駒時計店)

スクラッチタイルの質感がなんともいえなかったり、
全体を引き締めているのは間違いなくこの細部たちです。

付け入る隙がありません。


生駒時計店
所在地:大阪市中央区平野町2丁目2-12
設計:宗建築事務所(宗 兵蔵、大倉三郎、脇永一雄)
施工:大林組
竣工:1930(昭和5)年





大阪・吹田・千里ニュータウン/アーキスタジオ 哲 一級建築士事務所
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Posted by アーキスタジオ 哲 at 06:15│Comments(0)大阪の建築と雑記帳
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