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2010年10月12日
堀部安嗣の建築

掲載されている作品のすべてに共通の素材感・色合い・考え方などに、どっしりとした安心感と説得力があります。
奇をてらわない落ち着きとか、空間の柔らかさが写真からも伝わってきます。
『ほしいものはかたちではない。
ほしいものは静かな光で満たされた、ゆったりとした時間。
ほしいものは自然と人の営みとの調和のとれた関係。
ほしいものは、「ここに居ることができる」と感じられる状態。
どれもかたちではない。
しかし私は、具体的な寸法、材質、構造、色をもった、
目に見えるかたちをつかって表現しなければ、建築をつくれない。
そんな宿命を背負っている。
では、どうすればよいのだろう。
人は今、過去にも未来にも行くことはできない。
しかし人は、イマジネーションという優れた力をもっている。
その力によって、大昔の人の気持ちや営み、大昔の自然環境や地形、
大昔の技術や研鑽を知ることができる。
その力によって、建築がどう年をとって、どう人に愛され、
どう環境と調和して風景に馴染んでいき、
そして人が病に伏したときや大雨、強風のときに、
どう人を守っていくのかも知ることができる。
時間のイマジネーションを広げながら、具体的に緻密に、
そして均衡と調和を真剣に追及して生まれた時間軸をもつかたちは、
「豊かな抽象」としてあらわれる。
豊かな抽象となったかたちとは、建築本来の姿にほかならない。
そして、さらなる新しいイマジネーションがひろがりはじめるのだ。』
作品の雰囲気が、上に引用した冒頭の文章によく言い表されています。
Posted by アーキスタジオ 哲 at 11:12│Comments(0)
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