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2012年07月25日

素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3

<一昨日からのつづき>

ようやく辿り着いた今回の目的。
重要文化財の茶室、傘亭と時雨亭。いづれも利休作、秀吉好みと伝えられていますが、確証はありません。また、共に伏見城からの移築であるといわれています。

まずは傘亭。

素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3

茅葺方形屋根の素朴な茶室。天井が竹と丸木が放射状に組まれ、小屋梁の上に立つ一本の小屋束で支えられています。唐傘のようなので傘亭の名がありますが、正式には扁額にあるとおり「安閑窟」という名前です。
私は、この「窟」の字に対して持っている私のイメージと、この建物の明るくて開放的な雰囲気が不釣合いだなぁ・・・とずっと思っていたのですが、このたび改めて辞書を引くと、この字には「かくれが」と言う意味もあるようです。コレなら納得できるな。

この傘亭は、秀吉が舟遊びをした時に使った茶室だとされています。そう言われてみれば、池の端に建っている姿がとても似合う様に思います。

次に時雨亭。

素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3

めずらしい2階建ての茶室です。
いつも思いますが、内部が見たい!
伏見城にあった当時は丘の上にあって、2階の窓からは京都市内が一望でき、方向を転ずると大阪城までが見えたとか・・・。
大阪城が見えたかどうかは別として、こちらも窓際に座って京都市内を眺めている秀吉の姿が目に浮かぶようです。

ちょっと言いすぎか、
秀吉かどうかはわかりませんが、誰かが窓際に座り、窓台に肘をついて遠くを眺めている姿が目に浮かびます。
このぐらいの表現の方が現実的ですね。

写真では見え難いですが、小屋梁の上の小屋束が途中から二股に分かれて棟木を支えています。

いずれも周囲に開放した茶室で、所謂草案茶室の外部と隔絶された空間とはちょっとちがっています。私には、茶室というより茶屋と言った方がしっくり来ます。


伏見城から移築後、小堀遠州によってつけ加えられた傘亭と時雨亭をつなぐ渡り廊下です。

素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3
素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3

梁・桁ともに自然の曲がり木が使われています。
時雨亭の束といい渡り廊下の梁や桁といい、自然の曲がり木を存分に利用したデザインがとてもおもしろいです。

二つの茅葺屋根のせいなのか、全体的に非常に素朴な感じが漂っています。
全く別々に建てられていた建物を、渡り廊下で繋いだ発想はある意味突飛だと思うのですが、実にうまくまとまっているところが、さすがに小堀遠州といったところなのでしょうか。


ここにも説明役の方がおられましたが、一言も説明してくれませんでした。

写真を撮りまくってる人相の悪い男が、一人でうろうろしてたからですかね?
いや、写真を撮るために歩き回ってるから、説明したくても出来なかったのかも・・・。

素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3

時雨亭側より傘亭を臨む、時雨亭のこの横顔がなんとも愛らしい。
私には、古いアニメに出てくるロボットの顔のように見えます。
意味がわからないですか・・・?

素朴なふたつの茶屋~「高台寺」 その3

高台寺のホームページによると、10月の北政所茶会では5茶席と点心席でお茶と点心をよばれることができるようです。遺芳庵や傘亭、時雨亭の2階などにも入れるのでしょうか?もし入れるんだったら行って見ようかな?
でも、敷居も金額も高いなぁ・・・。


鷲峰山 高台寺
所在地:京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町526





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Posted by アーキスタジオ 哲 at 06:15│Comments(0)京都の建築と雑記帳
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