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2016年11月23日

明るい壁

以前、新築マンションの完了検査に立ち会ってください…という依頼で伺ったお宅で、
その真新しくて真っ白なクロスに目がくらむような眩しさを感じたことがあります。
この光がとても攻撃的な眩しさで、正直不快でした。

同じ真っ白でも漆喰の塗りたての壁では、
まぶしさを感じることはあっても、そんな攻撃的な眩しさを感じたことはありません。

また、古民家などの日本の伝統的な家屋に使われてきた壁の色を見てみると、
結構濃い色が付いていて壁の反射光がまぶしいと感じることはほとんどありません。

そんなこともあって、真っ白な壁…というのは、結構特殊な部類に入るんじゃないかな?
…と、常々思っている次第です。



それなのに、マンションや建売住宅で広く使われる量産クロスには、
張ってしまえばほとんど白にしか見えなようなバリエーションしかありません。
質感も多少のエンボスの違い位で、張ってしまうとほとんどその差はわからない。
だから真っ白で無表情に見えることが多いんですが、この影響なのか、
いつしか「白」が当たり前のように考えられている現実があります。

打合せをしていても、明るい方がいいから「とりあえず白で…」、
「壁は白でいいよ」、「白が無難でしょ」、「白なら何でも合うでしょ」
…という意見を必ず聞きます。
他の色を選ぶときにはすごく慎重なのに、
白となると途端にみなさん無頓着になるのも面白い傾向です。
本当は、白にもいろいろあるんですけどね。

和洋を問わず、自然素材でまっ白な建築材料というのは限られています。
それらの材料は白いということの他に、
その材料にしかない質感が色とともに絶妙な存在感となっているはずです。
だからこそいい味になっているんです。
白だからという理由だけで選ばれ、使われている訳ではありません。

ところで、壁って明るい色の方がいいのでしょうか?

個人的には、土壁の落ち着いた色合いと柔らかい反射光の方が好みです。




「とりあえず白」と言い切る前に、
この選択が正しいのかどうか、もう一度考えてみませんか?



  


Posted by アーキスタジオ 哲 at 00:41Comments(0)建築独り言